相場変動に左右されない考え方と行動の整理

コラム

年末は投資スタイル変更の絶好のタイミング!

1年の終わりに自分の投資戦略が、今の自分に合っているかを振り返ってみては いかがでしょうか!。

経済の流れや政治の動きによって、株の値動きは大きく変わります。
米国は1月、日本は4月、スタートのタイミングは違いますが、12月に「来年の投資の再構築」をしておくことも、安心につながると言えるでしょう。 投資は季節と状況に合わせて整えていくことも大切です。

~全面安相場でどう動く?考え方と行動の整理~

2025年冬、世界の金融市場は大きな転換点を迎え様としている様に思われます。
米国の金融政策の変化、日本の為替動向、そして投資家心理の揺らぎが複雑に絡み合い、株式市場は調整局面へと突入しようとしているようにも見えています。

この記事では、2025年以降に向けた今後の行動についての提案をしています。短期的な値動きに惑わされず、中長期的な金融環境の変化を読み解くためのヒントとなれば幸いです。

金価格の動向と背景

2025年10月中旬のゴールド(金)は、調整局面入りし、過去10年で最大級の下落幅を記録しました。主な要因は利益確定売りと、ETF市場の過熱感持続があると思われます。

時期 金価格(1トロイオンス) 主な要因
2025年初頭 約2,600ドル インフレ懸念による上昇
2025年10月中旬 約3,900ドル → 急落 ETF過熱・利益確定売り

【2025年8月〜10月の金価格チャート】
下のチャートは、2025年8月19日から10月28日までの金価格(CFD/USD)の推移を示しています。

GOLD

08月19日:$3,309(上昇の起点)
10月20日:$4,380(急騰のピーク)
10月28日:$3,881(調整後の水準)

この動きは、地政学リスクやインフレ期待の高まりを背景とした買いが集中したあとの、利確による一時的な下落が起きた典型的なパターンと言えます。

ゴールドの価格は8月後半[約3,300ドル]から急上昇をはじめ、10月の後半には、一旦[約4,300ドル]付近まで上昇のピークを迎え、10月21日から10月28日の[約3,800ドル]付近まで下落をしています。

この背景には、FOMC 前の経済指標や政策発言が市場心理を揺らし、安全資産から一時的に資金が離れたという流れと言えるでしょう。

1. 米中貿易の緊張緩和 → 安全資産としての金の需要が一時的に減退。

2. FRBの利下げ観測とその“温度差” → 10月末のFOMCでの利下げは予想されていましたが、市場は「12月の追加利下げがあるかどうか」に注目していました。そのため、 パウエル議長の発言や声明文の“匂わせが”金市場に不安を与えたと言えるでしょう。

3. インフレと雇用の混在したシグナル → CPIではインフレ圧力が根強く、雇用は軟化。 この“ちぐはぐ感”が、金の方向性を不安定にしたといえます。

この流れにより、仮想通貨や株価にも影響が広がり、資金が流れ始めたとも言えます。

金と株式の同時急落

2025年10月中旬から11月初旬にかけて、世界的な金融市場は大きく揺れ動き、金価格と株価が同時に急落。金は一時1トロイオンスあたり3,920ドル近辺まで下落し、過去最高水準から大幅に値を下げました。これに反応する形で、日経平均株価も急落し、11月5日には前日比−1,284.93円(−2.5%)安の50,212.27円で取引を終えています。

指標 値動き 日付
金価格 約−15% 10月中旬〜下旬
日経平均 −1,284.93円(−2.5%) 11月5日
こうした動きの背景には、AI・半導体関連株の過熱感や米国市場の調整懸念があり、金と株式の同時下落は市場参加者に強い警戒感を与えました。

米国の金融政策(FRB)

上記でも触れましたが、米国の金融政策も市場の不安定化に影響を与えました。
FRBの動向(2025年10月末)では、政策金利が3.75〜4.00%に引き下げられ、FRBは10月28〜29日のFOMCで0.25%の利下げを決定。これにより2会合連続の利下げとなりました。

会合 政策金利 内容
9月FOMC 4.00〜4.25% 初回利下げ
10月FOMC 3.75〜4.00% 2会合連続利下げ

インフレの鈍化と雇用市場の軟化が主因とされ、FRBは「慎重な緩和姿勢」を維持しつつ、12月以降の利下げは既定路線ではないと明言しています。政策金利の引き下げにもかかわらず、景気減速懸念が強まり、株価は下落する局面も見られました。

株式市場の急落要因と業種別動向

株式市場の急落要因としては、11月5日に先物主導の売りと円高進行が引き金となり、米株先物の下落とNYダウの反落(−226ドル)が投資家心理を悪化させ、日本株にも影響を受ける形となりました。

ただし全ての株が下がった訳ではありませんが、全体的に日経平均を下げる形となっています。

動向 業種(セクター)
上昇 陸運・建設業・卸売業 など
下落 海運・情報・通信・サービス業 など

金価格急落の構造的要因

金(ゴールド)の価格が大きく下がったのは、いくつかの理由が重なったためです。

まず、年初から金の価格が急上昇していたことで、「そろそろ利益を確定しておこう」と考える投資家が増えました。これにより、金をまとめて売る動きが広がり、価格が下がり始めたといえます。

次に、金の価格に連動するETF(上場投資信託)の値段が、実際の金の現物価格よりも高くなっていたこともあり、「このままでは価格が崩れるかもしれない」と不安に思った投資家が売りに動きました。ETFの価格が下がると、それに連動して金の価格も下がることがあります。これを「逆回転」と呼ぶことがあります。

さらに、アメリカの中央銀行(FRB)は金利を少しずつ下げ始めていますが、いぜん金利の水準は高めです。加えて円安が進んでいたため、日本の投資家にとっては金を買うコストが割高に感じられ、金への投資を控える動きも見られました。

そしてもう一つの要因として、「株価は年末に向けて上がるかもしれない(年末ラリー)」という期待がある一方で、「その前に一度調整が入るかもしれない」と考える投資家もいました。こうした先回りの判断から、金を売って現金や債券に資金を移す動きが出てきた可能性もあります。

つまり、金の価格が下がったのは、利益を確定したいという動きと、年末の株式市場の動きを見越して資産を入れ替える判断が重なった結果だと考えられます。

要因 内容
金利 日本の利上げ据え置きから、金の相対的な魅力が低下
為替 ドル高傾向が金価格の下押し要因に
ETF市場 現物より割高な価格形成 → 逆回転リスクが上昇
投資家心理 急騰による過熱感 → 利益確定売りが集中

今後の見通し

最近の金価格や株式市場の動きについて、多くの専門家は「暴落」というよりも「自然な調整」と見ています。つまり、経済の土台が崩れているわけではなく、投資家の気持ちや行動が一時的に変化したことによる値動きだと考えられています。

今後については、2025年以降にアメリカの中央銀行(FRB)がさらに金利を引き下げる可能性があり、それに伴って金価格が再び上昇するとの見方もあります。このため、値上がり前に金を購入しておきたいという動きが広がっています。

今の相場はどうなっている?

2025年11月現在、市場は不安定な状態が続いています。
アメリカ経済の減速懸念や、金利の変化に対する警戒感が強まっており、株式・ETF・金などの主要な資産が同時に下落する「逃げ場のない相場」となっています。

こうした状況では、特定の銘柄や投資手法を強く勧めるのではなく、リスクを抑えながら冷静に対応することが大切です。

今のような相場での行動指針

行動 内容
ホールド+観察 無理に売買せず、次の相場の流れが見えるまでじっくり様子を見る
スタイルを柔軟に切り替える 短期売買(スイング)から中長期投資へなど、相場の変化に合わせて投資スタイルを調整する
感情に流されない ニュースやSNSの情報に振り回されず、冷静に判断する姿勢を保つ
現金比率を高める MMF(マネーマネジメントファンド ドル建て資金確保限定)や短期預金(現金)など、安全性の高い資産を待機資金として確保する
金を戦略的に組み入れる 金利低下やインフレ懸念に備え、金を価値保存手段としてポートフォリオに加える。価格上昇前の購入も検討される
債券で安定収益を狙う 金利低下局面では既発債の価格上昇が期待できるため、利回りと安全性を兼ね備えた債券投資が有効
このような行動を意識することで、相場の波に飲まれず、次のチャンスをしっかりと掴む準備ができます。

資金の少ない初心者におすすめの投資スタイルと考え方

 投資の極意

【スタイル:短期トレード or 中長期投資】

  • 忙しい人でも取り組みやすく、短期的な値動きに振り回されにくい。
  • 感情に左右されず、冷静な判断がしやすい。

【考え方:堅実派+目的派】

  • 明確なゴール(老後資金、教育費など)を持ち、リスクを抑えながら資産形成を目指す。
  • 「勝つ」より「守る」ことを重視する姿勢。

判断のポイント(初心者が迷いやすい場面)

【迷った時の判断軸】
① 余剰資金がない
② 余剰資金が少ない
③ 余剰資金が多少ある

株式・ETFなどを売買する時のタイミングには[買うか売るか]の2択となりますが、余裕資金の有無が大きく関わってきます。

値下がりした場合は資金投入することは可能ですが、資金がない場合は、回復を信じて待つか、売却を検討するしかありません。

そのため今売ると損失が確定しますが、価格がすぐに戻れば「売らなければよかった」と後悔する可能性もあります、下がったとしても、積み上げてきた平均取得単価以下まで下落するとは限らない、しかし下がった時の事を考えて一部売却し、損失を分散しつつ待つことで、想定していた価格帯まで下がった場合に、資金投入すれば平均取得単価を下げることもできます。

結局どうすべき?3つの選択肢

選択肢 内容 有効な場面
① 一部売却して現金化 損失は確定するが、現金を確保して次のチャンスに備えられる 資産全体のリスクが高すぎるとき/精神的に耐えられないとき
② ホールドして耐える 損失は確定しない。価格が戻れば利益に転じる可能性あり 長期的に信頼できる銘柄/資金に余裕があるとき
③ 一部売却+一部ホールド 現金を確保しつつ、上昇時の恩恵も残せる 不確実性が高く、どちらにも備えたいとき

「売る」「耐える」「分ける」はそれぞれリスクとリターンのバランスが異なります。結果は大きく変わるため、自分の状況に合った選択が重要です。
① 一部売却のデメリット:損失確定、保有量減少
② ホールドのデメリット:下落時に何もできない、機会損失
③ 一部売却のデメリット:どちらも中途半端になる可能性

以下で可視化したシミュレーションをしてみたのでご覧下さい!。

シナリオ別シミュレーション(S&P500連動ETFを5万円分保有)

5万円分のS&P500連動型ETF(例:VOOやIVVなど)を保有していると仮定した場合のシナリオ別シミュレーションです。目的は、「下落局面でどう動くか」「売却・ホールド・買い増しの選択肢がどう影響するか」を比較することです。

【前提条件】

条件 10%下落した場合
ホールド 含み損は5,000円
一部売却 50口売却で現金25,000円確保
全額売却 損失5,000円確定
  • 保有額:50,000円(例:VOOやIVV)
  • 平均取得単価:500円(100口)
  • 現在価格:450円(▲10%下落)
  • 逆張り資金:なし(追加購入できない)
シナリオ 行動 回復時の結果 さらに下落した場合
A. ホールド 何もしない 含み損が解消、利益も出る可能性 含み損拡大、動けない状態が続く
B. 一部売却(50%) 25,000円分売却 利益は半減、現金で再投資可能 損失確定、買い直しの余地あり
C. 全額売却 全額売却し損失確定 回復時の利益を逃す 下落を回避、現金で再投資可能

<考察と結論>

  • ホールド(A):資金がないなら最も自然な選択。信じて待つ=動けないリスク有
  • 一部売却(B):保険をかける戦略。現金を確保しつつ、上昇にも備える。
  • 全額売却(C):損切りして再構築。精神的に耐えられないときに有効。

結論:資金がないなら「ホールド+冷静な観察」が最も自然。焦って売るより、次の動きに備えることが大切です。

・精神的に耐えられるならホールド(A)が最もシンプルで合理的。
・不安が強いなら一部売却(B)で現金を確保し、次の動きに備える。
・全額売却(C)は最後の手段。ただし、再投資のタイミングを見極める自信があるなら有効。

投資スタイルの「型」を見直そう

スタイル 特徴 向いている人
中長期投資 数ヶ月〜数年保有 長期目線で資産形成したい人
★インカム投資 配当・分配金重視 毎月のキャッシュフローを重視する人
グロース投資 成長株に集中 将来性に賭けたい人、リスク許容度高め
バリュー投資 割安株を狙う 数字や企業分析が好きな人

★:ある程度の資金がないと配当金が無い、または少ない

これから投資を始める方へ

  • 焦らず、まずは「学び」から 市場が大きく動いていると「今がチャンス」と感じがちですが、今は不確実性が高く、短期的な値動きに巻き込まれるリスクも大きいです。まずは少額から始めて、投資信託やETFなど分散性の高い商品を通じて市場に慣れることをおすすめします。
  • 積立投資の検討を 一括投資ではなく、毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」によって、価格変動リスクを平準化できます。特に今のような下落局面では、長期的な視点での積立が有効です。
  • 生活資金の確保が最優先 投資は余裕資金で行うのが鉄則です。生活費や緊急資金を確保したうえで、無理のない範囲で始めましょう。

投資歴別アドバイス

投資初心者(数週間〜数ヶ月)

  • 含み損は珍しくない経験。目的と期間を再確認。
  • ポートフォリオの点検を。分散性を意識。
  • 情報に振り回されない。冷静な判断を。

「含み損」は珍しくない経験 今のような相場では、短期的に資産が目減りすることもありますが、それは投資の一部です。焦って売却する前に、自分の投資目的と期間を再確認しましょう。

ポートフォリオの点検を 特定の銘柄やテーマに偏っていないか、リスク許容度に合っているかを見直す良い機会です。必要であれば、分散性を高める調整を検討してもよいでしょう。

情報に振り回されない SNSやニュースでの悲観的な情報に過剰反応せず、信頼できる情報源をもとに冷静に判断することが大切です。

投資歴半年〜1年

  • 調整局面は想定内。長期投資家にとっては通過点。
  • リバランスの検討を。資産配分を整える。
  • 出口戦略を意識。売却タイミングや目標利回りを考える。

「調整局面」は想定内の出来事 今回の下落は「暴落」ではなく「調整」と見る専門家が多く、長期投資家にとっては想定の範囲内とも言えます。過去の相場でも、こうした局面を乗り越えて成長してきた例は多くあります。

リバランスの検討を 株式と債券、現金などの資産配分が崩れていないかを確認し、必要に応じてリバランスを行うことで、リスクを適切に管理できます。

「出口戦略」を意識し始める まだ早いかもしれませんが、将来の売却タイミングや目標利回りを考えることで、今後の判断軸が明確になります。

注意点と心構え

  • 短期的な値動きに一喜一憂しない 投資はマラソンです。今のような不安定な相場では、むしろ「動かない勇気」も大切です。
  • 「次の一手」を急がない 米国経済の減速懸念やFRBの政策動向など、不透明要因が多いため、今は「守りの姿勢」が基本です。
  • 「自分の軸」を持つことが最大のリスク管理 他人の意見や短期的なトレンドに流されず、自分の目的・期間・リスク許容度に基づいた判断を心がけましょう。

投資の「心の流れ」も整理しよう

考え方 特徴
堅実派 リスクを抑えて、少しずつ資産を増やしたい
勝負派 チャンスに賭けて、大きな利益を狙いたい
分散派 リスクとリターンのバランスを重視
目的派 老後資金、教育費など明確なゴールがある
感情派 相場の雰囲気やニュースに左右されやすい

最後に
相場は常に変動し、予測不能な局面も多くあります。しかし、そうした不確実性の中でも「自分の軸」を持ち、冷静に判断する力こそが、長期的な資産形成において最も重要です。

この記事では、投資スタイルや判断軸、行動の選択肢を整理することで、読者が自分に合った投資のあり方を見つけられるよう意識しました。特に初心者の方にとっては、「何をすれば正解か」ではなく、「どう考えれば納得できるか」が大切です。

今後も市場は揺れ動きますが、感情に流されず、目的に沿った行動を積み重ねることで、投資は確かな学びと成果につながっていきます。焦らず、慌てず、自分のペースで歩んでいきましょう!


以上「相場変動に左右されない考え方と行動の整理」の記事は終了です。

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