ディフェンシブ株は本当に守り株として安心なのか

コラム

ディフェンシブ株は本当に安全なのか?──KDDIの下落が示した“守りの銘柄”に潜む落とし穴

ディフェンシブ株=安全という思い込み

通信キャリア、電力、インフラ、医薬品── これらは「ディフェンシブ株」と呼ばれ、景気に左右されにくい“守り”の銘柄として人気があります。

しかし、現実の相場ではこうした銘柄が大きく下落する場面が何度もあります。

その象徴の1つとしてあげられるのが KDDI です。

  • 通信キャリアという安定業種
  • 高配当で個人投資家に人気
  • 景気敏感ではない

それでも、KDDIは過去に何度も大きく下落してきました。

この記事では、KDDIをケーススタディとして 「ディフェンシブ株でも下落リスクは繰り返し起きる」 という投資の本質を解説します。

第1章:KDDI株価下落の背景──京セラの大量売却という構造リスク

2024年10月、KDDIの筆頭株主である京セラが 保有株の3分の1を5年間で売却する方針 を発表しました。

さらに2025年2月には、 売却期間を2年間に短縮 すると発表。
これは市場にとって非常に大きな意味を持ちます。

● 大量の株式が市場に出る
→ 需給悪化で株価に下落圧力
● 売却は“継続的”に行われる
→ 一度ではなく、何度も下落要因が発生する
● 実際に発表直後に株価が反落
→ 市場はこのリスクを敏感に織り込んだ

京セラの売却は、 KDDIの株価にとって構造的な重し となり続けます。

第2章:KDDIは過去にも何度も下落している

KDDIの下落は今回が初めてではありません。 むしろ“繰り返し起きてきた”と言えます。

① 2015年:料金引き下げ圧力で20%以上下落
政府が携帯料金の引き下げを検討したことで、 通信キャリア全体が大きく売られました。

  • 政策リスク
  • 業界構造の変化
  • 競争激化の懸念

KDDIは20%以上下落し、 「守りの銘柄でも政策ひとつで崩れる」ことを示しました。
② 2022年:大規模通信障害で信頼性低下
KDDIは2022年7月に大規模な通信障害を起こし、 数日間にわたり全国で通信が不安定に。

  • 信頼性の低下
  • 業績への影響懸念
  • 企業イメージの悪化

これらが重なり、株価は急落しました。
③ 楽天モバイル参入による競争激化

  • 料金競争
  • 顧客獲得コストの増加
  • 利益率の低下懸念

通信キャリアは安定業種でありながら、 競争環境の変化に弱い側面があります。

第3章:ディフェンシブ株に共通する“3つのリスク”

KDDIの事例は、ディフェンシブ株全体に共通するリスクを浮き彫りにします。
① 政策リスクに弱い
ディフェンシブ株は、安定収益の代わりに 政府の規制に強く影響される という特徴があります。

  • 通信 → 料金引き下げ圧力
  • 電力 → 規制料金
  • 医薬 → 薬価改定
  • インフラ → 公共料金の制約

政策ひとつで業績が揺れ、株価が急落することがあります。
>② 大株主の売却リスク
KDDIの京セラのように、 大株主が大量売却を行うと需給が崩れます。

これは通信に限らず、

  • JT(財務省の売却)
  • 電力株(自治体の売却)

など、ディフェンシブ株に多い構造リスクです。
>③ 事故・障害リスク
ディフェンシブ株は“安定しているからこそ” 事故の影響が大きく出ます。

  • 通信障害
  • 停電
  • 工場停止
  • インフラ事故

一度の事故で信頼性が揺らぎ、株価が急落することがあります。

第4章:なぜ“守り”なのに下落しやすいのか(本質)

ここが最も重要なポイントです。

ディフェンシブ株は業績が安定している一方で、 株価は別の要因で動く という構造があります。

① ETFの売りが波及しやすい
KDDIのような大型株は、 ETFの売りが出ると真っ先に影響を受けます。

② 個人投資家の保有比率が高い
KDDIは個人投資家に人気が高く、 相場不安で売りが出やすい。

③ 流動性が高く、機関投資家が調整売りしやすい
大型株は“売りやすい”ため、 リスクオフ局面で真っ先に売られます。

④ 業績の安定=株価の安定ではない
ここが最大の誤解です。

業績が安定していても、株価は政策・需給・事故で大きく動く

これがディフェンシブ株の本質です。

第5章:投資家が学ぶべきポイント

KDDIの事例から得られる教訓は明確です。

✔ ディフェンシブ株=安全ではない
下落しない銘柄は存在しません。

✔ 下落は“1度ではなく何度も”起きる
京セラ売却のように、 構造的な下落要因が続くこともあります。

✔ セクターではなく“性質”を見るべき
同じ通信でも、

  • KDDI → 政策・売却リスク
  • NTT → 国の保有比率で安定
  • ソフトバンク → 低位株で値動きが鈍い

性質は全く違います。
✔ ディフェンシブ株はポートフォリオに必要だが、過信は禁物
安定収益は魅力ですが、 株価は別の要因で大きく動くことを理解する必要があります。

まとめ:ディフェンシブ株は大事だが、安全ではない

KDDIの下落は、 「守りの銘柄でも下がる」 という投資の現実を示しました。

  • 京セラの大量売却
  • 政策リスク
  • 通信障害
  • 競争激化
  • ETF売り
  • 個人投資家の心理

これらが重なると、 ディフェンシブ株でも大きく下落します。

しかし同時に、 ディフェンシブ株は長期投資において重要な役割を持つ という事実も変わりません。

大切なのは、

「守りだから安心」ではなく、 「守りにも固有のリスクがある」と理解した上で投資すること。

これが、相場に振り回されない投資家になるための第一歩です。

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