原発再開を掲げる理由とは？

政府は第7次エネルギー基本計画で「原発を最大限活用する」と明記し、GX（グリーントランスフォーメーション）政策の中核に位置づけています。その背景には、電力需要の増加、経済安全保障、CO₂削減の必要性があると説明しています。特にAIやデータセンターの拡大により、24時間安定した電力供給が求められる現代では、原発の安定性が再評価されているとのこと。

脱原発に必要な条件

原発を完全になくすためには、まず再生可能エネルギーの導入を最大限に進める必要があると言われています。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどを地域の気候や地形ごとに最適化し、分散型電源として整備することで、原発に頼らない電力供給体制が可能になると言われています。また、蓄電池や水素などの電力貯蔵技術の進化も不可欠であり、これにより再エネの不安定さを補うことができるともいわれており、さらに、電力消費の効率化や省エネ技術の普及、需要の平準化を進めることで、ピーク時の電力不足を防ぐことができるとされます。

同時に、原発に代わる安定したベース電源として、地熱や水素発電、小型ガスタービンなどの技術開発も求められており。これらを組み合わせた「スマートグリッド」や地域エネルギー自立モデルの構築が、脱原発社会の鍵と言えます。

しかし、こうした原発再開の動きには強い反発や課題も存在しています。。その背景に福島県の脱原発「原発の代わりになる新しい発電方法」などの技術も少しずつ進んでいることが挙げられます。それなのになぜ、原発再開を掲げているのでしょうか？

福島原発停止後も原発が必要とされる理由？

2024年までは福島県は単独での電力を完全に安定供給できていませんでした、全国の電力ネットワークと再エネ導入の加速によって、徐々に安定性が高まってきた経路があります。

2024年度の冬季電力需給については、厳寒時の需要増を想定した上で、安定供給が可能か検証された。つまり、ギリギリのバランスで成り立っていた状態で、2011年の東日本大震災から2025年まで、約14年かけて自立での電力供給を実現できたことになります。

日本のエネルギー自給率は約15%

しかし、全国的なモデルケースと見なすには、様々な状況があり、生成AIやデータセンター、半導体工場の新設などで、電力消費が急激に増加をしており、経済産業省は、2040年には電力の供給量が2023年時点に比べて1〜2割増加すると予測していることもあります。

現時点での日本のエネルギー自給率は約15%と、先進国の中でもかなり低い水準だそうです。原油や天然ガスの多くを中東などに依存しているため、地政学リスクが高いことも理由の1つとされています。これまでの原発は、少量の燃料で長期間発電できる「準国産エネルギー」として、安定供給の柱になっていました。

原発が稼働している地域では、電気料金が安定しやすい傾向があるようです。逆に、原発が停止している地域では、火力発電への依存がありコストが上がる傾向もあるようです。

✅ メリット

• 電力コストの安定化：製造業や家庭の電気代が抑えられる可能性。
• エネルギー安全保障：海外依存を減らし、災害時の供給リスクを軽減。
• 技術革新の加速：革新炉や核融合の研究が進み、産業競争力が高まる。

⚠️ デメリット・懸念

• 地元の同意が必要：再稼働には地域の理解が不可欠。
• 安全性への不安：福島事故の記憶が根強く、世論の反発もあり得る。
• 再エネ業界への影響：太陽光などの再生可能エネルギーへの支援が縮小される可能性も。

つまり、原発再開は「即効性のある安定策」である一方で、「調整と信頼構築が必要な長期戦略」でもあるといえます。

🌐世界が原発再開に反対する理由

1. 安全性への不信感

• 福島第一原発事故の記憶は、世界中に衝撃を与えた。
• 米紙や欧州メディアは、日本の「安全神話」が再び語られることに強い懸念を示している。
• 「世界一厳しい基準」と言われても、地震や津波など日本特有のリスクには限界があると見られている。

2. 廃棄物問題

• 放射性廃棄物は何千年も危険性が続くため、処理方法が確立されていないことが批判の的に。
• 欧米では「クリーンな再生可能エネルギーの方が展開が早く、安全」とする声も多い。

3. コストとスピードの問題

• 原発の新設には10年以上かかることもあり、2030年までの温暖化対策には間に合わないという指摘も。
• 巨額の建設費や維持費が、税金負担や財政リスクにつながる懸念もある。

🧊再開を進める国もある

• フランスや英国は原発復権を掲げ、新設や寿命延長を進めている。
• 米国ではAI時代の電力需要に対応するため、小型モジュール炉（SMR）への投資が加速中。
• 中国やインド、ロシアなどは原発拡大路線を継続していて、世界のエネルギー地図は分岐している状態となっています。

🌊日本の選択は世界の目にさらされている

高市早苗新総裁は、日本の技術力や地方の魅力を海外に売り込む戦略や、経済安全保障の強化、積極財政による生活支援など多面的な政策を掲げているが、在任期間の短さや他派閥との力関係、官僚や世論との調整の難しさから、たとえ優れた政策であっても実現が困難となる可能性があり、国民の生活基準に与える影響は近未来では支援策による安定感、中期では成長投資による雇用改善、長期では構造改革による生活基盤の再構築が期待される一方で、インフレや財政リスク、エネルギーなどの課題も多いといえます。

とくに高市氏が進める原発再開は、エネルギー安全保障と経済安定を狙ったものですが、 世界からは「安全性」「環境負荷」「コスト」の面で厳しい目が向けられています。

しかし現時点の日本では、脱炭素と安定供給の両立はむずかしく 再エネは天候に左右され、蓄電技術もまだ発展途上ということもあり、安定した電力を大量に供給できる原発は「ベース電源」として再注目されていると言う事になります。

まとめと一言

高市早苗氏は「日本をもっと元気にしたい！」っという思いで、海外に日本の技術や魅力を売り込んだり、物価の上昇を抑えるために税金を下げたり、給付金を出したりする政策を考えていますが、政治の世界はチーム戦みたいなところがあり、他のグループの反対や、ルールを変えるのに時間がかかるせいで、全てをすぐに実現するのは難しいかもしれないですね。