第1部: お金の見える化と収入減を作る道筋
第1部は、苦しいときに何を先に整えるかを考えるルール作りの回です。
お金が少ないと、きれいごとでは動けませんよね。
少額からでいいと言われても、その少額がきついことはあります。長く続ければいいと言われても、まず今月をどう回すかで精一杯ということもあります。私もそうでした。
だからこの回では、立派な方法より先に、手元のお金で少しでも崩れにくくする考え方を見ていきます。
【当サイトのシリーズタイトル 錬錯 とは】
錬金術と試行錯誤を合わせた造語で当サイト独自の表現です。限られたお金を整え、守り、活かすための考え方を意味しています。
金融庁も、資産形成を考えるうえで最初に知っておきたいこととして、まず家計管理とライフプランニングを挙げています。 (fsa.go.jp)
お金に余裕がないときは、増やす話より先に、減り方を整えるほうが効果的になることがあります。
ここで言いたいのは、気合いで乗り切る話ではありません。仕組みで少し持ちこたえやすくするという話です。難しい知識がなくてもできることはあります。大事なのは、完璧にやることではなく、続けやすい形を作ることです。
支払い専用の口座を分ける
1つ目は、支払い専用の銀行口座を増やすことです。
家計簿を完璧につける前に、まず1つだけ分ける。たとえば支払い専用の口座です。家賃や通信費のように毎月ほぼ決まって出ていくお金だけをそこに入れる。そして、支払額より1千円でも多く置いておく。これだけでも、生活の崩れ方は少し変わります。
こういう話をすると、たった1千円と思うかもしれません。けれど、たった1千円を毎月先に分ける場合と、毎月ぎりぎりまで手元のお金を気にするとでは、10ヶ月後の安心感が違います。
たとえば毎月の支払いが5万円なら、5万1千円を先に入れておく。たった1千円と思うかもしれませんが、10ヶ月続けば1万円です。こうする事で1千円には触れず、手元に残ったお金だけで何とかしようとする意識が生まれます。
あとに残る事を意識するほうが 気持ちに張りが出る効果があります。
大きな貯金ではなくても、少しの余裕が生まれる事で気持ちはだいぶ違うと言えるでしょう。これは地味ですが、かなり効く手と言えます。
目先のものに頼らない
2つ目は、すぐ売らない考え方です。
すぐに家にあるものを売って現金化する方法は、たしかに手っ取り早く見えます。ですが、それを最初の手段にしてしまうと、後になって売るものも減っていきますし、心のどこかに不安も残りやすくなります。
また、家にあるものには思い入れがあるぶん、自分では高く見積もってしまいがちです。けれど実際に売ってみると、思っていたより金額がつかないことも少なくありません。簡単にお金になると思って動いたのに、手間のわりに収入が少ないと、もやもやが残ります。そのもやもやが、次に立て直そうとする気持ちを弱めてしまうこともあります。
| 視点 | 考え方 |
|---|---|
| 最初の行動 | すぐ売らない |
| 理由 | 不安が残りやすい |
| 注意点 | 価値を高く見がち |
| 先にやること | 固定費の見直し |
| 目指す流れ | 収入内でやりくり |
| 得られるもの | 小さな自信 |
| 次の段階 | 売却を活用する |
次のステップとしてやるべきなのは、家にあるものを売ることではなく、出費の整理です。
まずは固定の生活費を見直して、毎月どこにお金が出ていっているのかをはっきりさせることが大切です。そのうえで、今ある収入の中で月のやりくりをすることを始めます。
ここで少しだけ我慢することで、気持ちにほどよい負荷がかかります。すぐに売れる物があると、困ったらそれを現金にすればいいと思いがちです。
けれど、あえてそれを先に使わないようにすると、何とかこの中でやりくりしようという感覚が生まれます。そして、その感覚が実際の行動につながっていきます。そこが、この方法のよいところです。
そうして出費を整理し、収入の中でやりくりする中で、少しでも資金を浮かせられるようになると、自分は我慢できる、やりくりできるという自信も生まれてきます。その自信がつくと、家にあるものを売ることを次の段階として落ち着いて考えられるようになります。
その状態で売るなら、思ったより評価額が低くても、こんなものかと受け止めやすくなります。最初からそれに期待しすぎていないぶん、気持ちに余裕があるからです。
家にあるものをリサイクルに売るのは悪いことではありません。ただ、それは最初の一手ではなく、生活を立て直す流れが少し見えてきたあとに使うほうが、気持ちの面でも続けやすいと言えるでしょう。
使ってよいお金を先に決める
3つ目は、自由に使ってよい金額を先に決めることです。
月末まとめて降ろして余ったら残そうとすると、だいたい余らないまま終わります。なので、食費や日用品とは別に、自分が動かしてよい金額を先に決めておきます。月で考えるより、1週間ごとに決めると効果的です。
このやり方の良いところは、1週間のやりくりをする事で、使いすぎを防ぐことができるところです。今いくら残っているかが見えるだけで、使い方は変わります。
見えていないお金(クレジット)などは「チョッとだけならいいか!」といった具合に少し使いすぎる事もあるので、まず見える形にすることが大切と言えます。小さな出費も積み重なると大きくなるんですよね。
政府広報でも、金融リテラシーの基本として家計や生活設計への理解が大切だと紹介されています。
固定費は一気にではなく1つだけ見る
4つ目は、固定費を1つだけ見ることです。
お金が苦しいときに見直しと言われても、それだけで疲れますよね。
なので、全部を一気にやろうとしなくて大丈夫です。通信費でも、契約の見直しでも、続けている理由が曖昧な支払いでも、まずは1つだけ見直す。それだけでも前進です。
ここで大切なのは、大きな我慢をすることではなく、毎月自動で出ていくお金を少し軽くできるかです。ダイエットも筋トレも同じですが、楽すぎるやり方だけで目に見える変化を出すのは難しいですよね。お金のことも少し似ています。
ここで重要なのは、最初から切り詰めすぎると後がないと言うモチベーションの低下にもつながりかねません、ここでの基本は、ストイックさではなく、無理しすぎない程度の負荷で生活を続けられる持続性です。
最初に少しだけ手間や負荷のある見直しをしておくと、それがあとで家計の軽さにつながることがあります。何事も、まったく負荷のないままで成果だけを受け取るのはなかなか難しいものです。
生活を守る小さなルールを作る
こうした工夫は、思いつきでやるより自分のルールにした方が続きます。
たとえば、給料日から2日以内に支払い口座へ入れる。自由に使う金額は週ごとに分ける。固定費は毎月一つだけ見直す。収入を増やす方法も、気になったものを一つだけ試してみる。最初はこのくらいで十分です。ルールがあると、気分で崩れにくくなります。
資産形成の基本は、苦しい時期ほど先に家計を持ちこたえさせるルールを作る事が大事と言えるでしょう。
きれいごとではなく、持ちこたえる形を作る
お金が少ない人ほど必要なのは、派手な正解ではありません。
今ある条件の中で、少しでも崩れにくい形を作ることです。
これらを行動に移すことをしない人ほど後悔しがちです。
- 支払い口座を分けることも、
- 使ってよい金額を決めることも、
- 固定費を一つだけ見なおすことも、
- 収入の入り口を探してみることも、
そのための手です。どれも大きな話ではありません。けれど、小さいからこそ現実に使えます。
錬錯で考えたいのは、こういう順番です。
- 増やす前に整えること。
- 苦しいときほど、仕組みで守ること。
- 少し余裕ができてから次の段階へ進むこと
少しの負荷があとで成果になることは、お金のことでも意外と同じです。
まずは完璧を目指すより、続く形を一つ持つことのほうが大事です。
次の第2部では、収入源の作り方の考え方を、生活環境や状況に応じた形でもう少し具体的に見ていきます。
錬錯シリーズ
【錬錯】第0部:プロローグ このシリーズで考えたいお金の話
【錬錯】第1部:お金が少ない人ほど、きれいごとでは動けない
