今回のテーマは、投資するならどのような方法が良いかを、シミュレーションのデーターを基に解説をするテーマです。結論を言ってしまうと、結局のところ初心者の内は、ドルコスト平均法の『つみたて投資』をする方が、良いと言えるかもしれません!。
少し投資になれてきたり、資金が少ない時ほど、アノマリー投資をしがちですが、実際のところ難しいと言えます。
実を言うと私自身、年間を通して出費がかさみ、投資資金を投入できず年後半にやっと少しだけ投資できたのですが、投資をした時期がちょうど最高値だったことも有り、年を終えてみるとマイナス損益になったことがありました。
その年の株式市場は、絶好機で1月から9月までずっと上がっており、10月から下がり始めたものの、12月を終えるころには、9月にせまるほどに回復してきました。
そう、せまるまでにという事は、お解りの通り私自身はマイナス『もしかして、今年マイナスなのは私だけ!』という心境でした。
ただし、しっかりとアノマリーを意識していれば、その年の投資はせずに済んだのかもしれません!。
以下では、3つの投資方法を同じ価格でシミュレーションをしてみたので参考にしてみて下さい。
3つの投資方法とは[つみたて投資・一括投資・アノマリー投資]のことを言います。
・つみたて投資:毎月同じ金額を年間を通して積立ていくドルコスト平均法の事を言います。
・一括投資:1月や、その年の一番底値と判断した時にすべての資金を投入する一点集中型の投資スタイルを言います。
・アノマリー投資:過去のデーターやこれまでの経験を生かして、値下がりしている時に多めに資金を投入する投資方法です。または、前の月よりも相場が下がったタイミングで、少し多めに投資をする方法です。
右肩上がり相場(上昇相場)
年初から値を上げ続け、年末まで上昇を続けた場合、上昇相場と言われます。
昨年の2024年度は、米国の利下げや日本の利上げなど、いくつかの要因が重なったことで、大暴落をした事も有りましたが、結果的に暴落を回収するほどの回復を見せ、上昇相場として1年のフィニッシュを迎えました。
この様な上昇相場の時に、1月の初旬にすべての資金を一括投資をしていた方の利益率は大きかったと思います。
以下では[アノマリー投資・つみたて(ドルコスト)・一括投資]3つの投資方法のそれぞれのリターン率を、架空の株価でシミュレーションをしています。
※:どの方法も年間トータル投資額を12万円で算出となっています。
右肩上がり | 投資額 | |||
月別 | 基準価格 | アノマリー | ドルコスト | 一括投資 |
1月 | 21,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 120000円 |
2月 | 21,500円 | 5,000円 | 10,000円 | |
3月 | 22,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
4月 | 23,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
5月 | 22,000円 | 15,000円 | 10,000円 | |
6月 | 22,500円 | 5,000円 | 10,000円 | |
7月 | 22,000円 | 15,000円 | 10,000円 | |
8月 | 22,000円 | 10,000円 | 10,000円 | |
9月 | 24,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
10月 | 23,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
11月 | 21,000円 | 20,000円 | 10,000円 | |
12月 | 24,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
右肩上がりの、上昇相場の場合、1月初旬に投資をしていた一括投資がさもリターン率(運用収益額)が大きかったと言えます。
結果 | アノマリー | ドルコスト | 一括投資 |
購入株数 | 5.464株 | 5.384株 | 5.714株 |
運用収益額 | 11,136円 | 9,216円 | 17,136円 |
運用収益率 | 9.28% | 7.68% | 14.28% |
上記の様な上昇トレンド相場の時は、一括投資が最もリターン率が良かったと言えます。
この様な相場を一年の初旬から予測する事ができていれば、一括投資をする事もできますが、今年 2025年度はトランプ大統領が関税をかける貿易懸念があるため、一括投資が,吉と出るとは限らないので、注意が必要と言えます。
ただし、アノマリー的観点からすると1.2.3月は、株価は好調とされるため、米国の政治状況に注目する方が良いと言えるでしょう。
レンジ相場・行って来い相場
年間で株価のボラティリティが大きかったにもかかわらず、1月と12月の株価が同じであった場合、一般的には「行って来い相場」や「レンジ相場、または ボックス相場」とも呼ばれています。
・レンジ相場とは、価格が一定の範囲内で上下するものの、最終的に大きなトレンドが見られず、価格がほぼ変動しない相場のことを言います。
・行って来い相場とは、前半上昇または、下落していたにもかかわらず、元の価格帯に戻ってきてしまった相場の事を言います。このような相場では、トレーダーは上昇している時に、小額を投資をしつつ下落を待ち、底付近と判断した時に、多めに投資をします。
※:ただしこの場合、よほどの自信がない場合はやめておいた方が良い投資方法となります。
平均的に変動 | 投資額 | |||
月 | 基準価格 | 投資額 | ドルコスト | 一括投資 |
1月 | 24,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 120,000円 |
2月 | 23,000円 | 20,000円 | 10,000円 | |
3月 | 10,000円 | 20,000円 | 10,000円 | |
4月 | 21,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
5月 | 22,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
6月 | 22,500円 | 5,000円 | 10,000円 | |
7月 | 24,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
8月 | 31,500円 | 5,000円 | 10,000円 | |
9月 | 21,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
10月 | 22,000円 | 10,000円 | 10,000円 | |
11月 | 23,000円 | 10,000円 | 10,000円 | |
12月 | 24,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
平均的な変動相場では比較的に、アノマリー投資が有利になる事も有ります。
例えば、1月は、新規の投資家が参入してくる傾向にあるとされ、一部の投資家には 1月の初旬に購入をする 投資家も多いとされています。ただし、政治や紛争と言ったリスクがある年は警戒されるため、そのような年は一気に資金投入する事は避けた方が良いとも言えます。
4月は一般的に企業の決算発表などがあり、企業の財務状況が明らかになるため、海外投資家が決算情報などを元に日本株に投資をするか決めるシーズンとなることが多い様です。
セルインメイという言葉が株価相場にあり、株は5月に売れという格言も有るほど広くしられています。
また、7~8月は、サマーバケーションシーズンで、投資家が大型連休に入るため、株式相場も停滞するとされています。
※:あくまでもアノマリーは、投資家の一般的な認識であるため、データー分析や地政学的リスクを判断した、テクニカル分析やファンダメンタルを駆使したものではないので、参考程度にしておくと良いでしょう。
シミュレーション的には、アノマリー投資が良いように見えますが、あくまでもよく言われているアノマリーに寄せたシミュレーションであると認識してください。
アノマリー投資は、外れた時の代償が大きくなることも有ります。また、資金の投入金額を意識して把握する必要も有るので、積立投資の様にほったらかし投資をしたい方には不向きと言えるでしょう。
結果 | アノマリー | ドルコスト | 一括投資 |
購入株数 | 6.173株 | 5.714株 | 5.000株 |
運用収益額 | 28,152円 | 17,136円 | 0円 |
運用収益率 | 23.46% | 14.28% | 0.00% |
この様な 行って来い相場の場合、1月と12月の価格が同等だった年に一括投資を初旬にしてしまうと、プラスマイナス0円という、デメリットに遭遇してしまう可能性も有るので要注意といえます。
救いとしては、長期投資をする事で、福利効果は期待できますので、落胆する事はありません。
右肩下がり相場(下落相場)
1月以降下がり続けて、戻ってこない相場も有ります。
以下は、S&P500の低迷期の相場です。
年度 | リターン率 |
---|---|
2000 | -9.10% |
2001 | -11.89% |
2002 | -22.10% |
この時は、ITバブルの崩壊やテロによるNYのツインタワー崩壊など、様々な要因が重なっていました。
ITバブルの崩壊は、2000年初頭に発生しました、インターネット関連企業(特にドットコム企業)に対する過度な投資によって形成されました。しかし、投資家の期待が過度に高まりすぎたため、多くの企業が利益を上げられず、株価が急落。その結果、多くの企業が倒産し、投資家にも大きな損失をもたらしました。
この崩壊は、技術革新の進展とともに、市場の冷静な見方が再認識させる出来事でもありました。
本題に戻します。
以下の様な下落をし続ける相場の場合、どの投資方法も利益を期待できないため、小額で積立ても良いとは思いますが、福利を期待するのであれば、ひたすら積立投資に妄信しても良いと思います。
平均的に変動 | 投資額 | |||
月 | 基準価格 | 投資額 | ドルコスト | 一括投資 |
1月 | 24,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 120000円 |
2月 | 23,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
3月 | 25,000円 | 10,000円 | 10,000円 | |
4月 | 23,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
5月 | 23,500円 | 10,000円 | 10,000円 | |
6月 | 22,500円 | 10,000円 | 10,000円 | |
7月 | 24,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
8月 | 20,500円 | 5,000円 | 10,000円 | |
9月 | 21,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
10月 | 20,000円 | 5,000円 | 10,000円 | |
11月 | 21,500円 | 20,000円 | 10,000円 | |
12月 | 20,000円 | 20,000円 | 10,000円 |
この場合も、アノマリー投資が若干有利に見えますが、あくまでも上手くはまった場合なので、この投資方法を進めているものではありません、このような年は、マイナスシーズンとして、受け入れるしかないとも言えるでしょう。
結果 | アノマリー | ドルコスト | 一括投資 |
購入株数 | 5.464株 | 5.000株 | 5.573株 |
運用収益額 | -11,830円 | -11,964円 | -20,000円 |
運用収益率 | -9.86% | -9.97% | -16.67% |
最終的には、自己判断と言えますがリスク分散として、有事の金(ゴールド)や債券も、視野に入れておくと、マイナスを回避することも出来るかもしれません。
3つの投資法まとめ
以下に3つの投資方法のメリット・デメリットをまとめてみました。
1. つみたて投資
【メリット】
リスク分散: 定期的に投資することで、市場の変動リスクを分散できる
平均取引価格: 市場の高値と安値を平均化することで長期的に安定した収益を得られる
【デメリット】
タイミング: 定期的に投資するため、市場の買い時タイミングを逃す可能性がある
手数料:NISAでは、基本的に売買手数料は無料ですが、米国株には所得税がかかっている事も有るため、手数料がかさむことも有る
2. 一括投資
【メリット】
手数料の削減: 一度に購入する事で、取引手数料が少なくて済む
タイミング: 一括で投資することにより、ほったらかし投資ができるため、相場を気にしなくて済む
【デメリット】
リスク: 市場のタイミングを見誤ると、損失を被る可能性もある
市場の変動: NISA枠をフルに使う一括投資は、暴落時に対応できず、その年は回復相場になる事を期待するだけとなる
3. アノマリー投資
【メリット】
経験則:アノマリーデーターと経験値を組み合わせることで、ある程度の予測ができるため、投資戦略が楽である
予測可能性: アノマリーデーターと世界情勢を把握する事で 対応力も付き、予測ができるようになる
【デメリット】
リスク: 市場の変動や外部要因により、予測が外れることがある
一貫性: 市場の傾向が変わることがあり、アノマリーだけを信じると損失を被る可能性がる
どの投資法にも、メリット・デメリットがあるため、個々の投資目標やリスク許容度により、自分に合った方法を見つけることが重要と言えます。
以上で『初心者の投資術『結局、つみたて投資が無難なのか⁉』』の記事は終了です。