証券口座を複数もつメリット・デメリット

株式投資

証券口座を複数もつメリット・デメリット

始めに、この記事では証券口座を複数もつメリットについて解説をしていますが、初心者の方で資金が少ない場合は、多くても2社程度に申込みをし、投資に慣れてから口座を増やすようにするとよいでしょう。

口座開設の料金は、基本的に無料ですが、一般口座とNISA口座を使い分けしたい時や、証券会社ごとのサービスやポイント投資、または分析ツールなど、各社独自のアプリを利用して取引を有利に進めてみたい方には、複数の口座を開設をするメリットがあると言えます。

メリット

  1. 手数料の比較: 証券会社ごとに手数料が異なるため、最も有利な手数料で取引を行うことができます。
  2. 分析ツールを選べる:各証券会社の分析ツールには、個々により使い勝手の良し悪しがあるもので、アプリの使いやすさも証券口座を選ぶ1つと言えます。
  3. 取扱商品の多様性: 各証券会社で取り扱っている商品が異なるため、複数の口座を持つことで投資の選択肢が広がります。
  4. リスクとメリットの活用: 1つの証券会社に依存せず、複数の口座を持つことで、万が一、1つの証券会社に問題が発生しても、他の口座で取引を続けることができます。また、対面式の実店舗型の証券口座を持つことで投資のアドバイスを受けられます。
  5. キャンペーンの活用: 各証券会社が提供するキャンペーンや特典を利用することで、よりお得に取引を行うことができます。

手数料の比較

NISA口座と言ってもすべてが無料という訳ではありません(海外の有価証券の保管,その他)や(信託報酬)などの、実質的なコストがかかります。

取引コスト
監査費用: 投資信託の監査にかかる費用。
保管費用: 海外の有価証券の保管にかかる費用。
その他の費用: ファンドの運用に関連するその他の費用。

以下では、SBI証券,楽天証券,マネックス証券の S&P500インデックスファンドのコストを例に大手3社で比較をしてみました。


SBI証券
信託報酬: 0.0938%
実質コスト: 0.1058%
取引手数料: 無料


楽天証券
信託報酬: 0.077%
実質コスト: 0.094%
取引手数料: 無料


マネックス証券
信託報酬: 0.0586%(2026年5月7日まで)
実質コスト: 0.0586%(2026年5月8日以降は、0.09072%)
取引手数料: 無料


これらの証券会社は、いずれも低コストでS&P500インデックスファンドを提供していますが、信託報酬や実質コストに若干の違いがあります。特に、マネックス証券の「つみたてS&P500」は、2026年5月7日までの期間限定で非常に低い信託報酬を提供しています。

分析ツールを選べる

各証券会社の分析ツールには、個々により使い勝手の良し悪しがあるもので、アプリの使いやすさも証券口座を選ぶ1つの手段と言えます。

取扱商品(銘柄数)

2025年1月現在:各証券会社で取り扱っている商品(銘柄)数や、取扱い銘柄の内容には違いがあります。まずは、投資をしたい銘柄が対象の証券会社で扱っているかを確認してから、口座を開設する様にして下さい。

NISA対応インデックスファンド銘柄数
SBI証券: 242本
楽天証券: 242本
マネックス証券: 242本

国内銘柄数
取り扱い銘柄数
SBI証券: 約4,000銘柄
楽天証券: 約3,000銘柄
マネックス証券: 約5,000銘柄

海外銘柄数
SBI証券
米国株式取扱銘柄数: 約6,000銘柄、その他の外国株式: 9ヵ国への投資が可能
楽天証券
米国株式取扱銘柄数: 約4,600銘柄
その他の外国株式: 中国株式、アセアン株式など
マネックス証券
米国株式取扱銘柄数: 約5,000銘柄
その他の外国株式: 中国株式(香港証券取引所に上場しているほぼ全ての銘柄)

これらの証券会社は、豊富な海外銘柄を取り扱っており、投資家に多様な選択肢を提供しています。

リスクとメリットの活用

つみたてと成長投資枠
複数口座を開設するメリットとして、メイン口座をNISA(積立専用)にする事で、普段意識せずにほったらかし投資をする事が出来ます。
NISAは、長期投資する事でリターンを最大限に得られるシステムなので短期間で売却しないことが大前提となります。

NISAでも個別株やアクティブファンドに投資する事は可能ですが、福利効果は期待できないため、長期保有する場合は、優待や配当金を得る事を期待して企業の成長性を願って投資する方が良いと思います。

実際の資金を掛けたくないという方は『かぶたす Google Play App Store』アプリで練習してみるのも良いと思います。

小資金での投資
実際に短期売買をしたい時は、NISAでの積立資金と別に意識する事も必要となりますが、投資経験が浅い初心者のかたは、ミニ株(単元未満株)を扱っている別口座で数百円から数千円の株取引きで練習する事をお勧めします。

対面式実店舗との併用
複数の証券口座を持つことで、各証券会社が提供する投資情報やセミナーを活用できる点が大きなメリットです。多くの証券会社では、口座開設者専用のアナリストレポートやセミナーを提供しています。これにより、1社だけでは得られない多様な知識や見解(知見)や学びを得ることができます。

例えば、複数のアナリストレポートを確認することで、同一銘柄に対する異なる見解を把握することができます。また、各証券会社が提供する無料セミナーを利用することで、投資に関する幅広い情報を収集しやすくなり、効率的に知識を深めることができます。

ただし、注意点としてリターン率が高いアクティブファンドや金(ゴールド)の投資を進められた場合、資金力に不安のある時は いったん断る様にしましょう。

アクティブファンドは、大手企業の専門的な分野に片寄ったファンドも有るので大きな変動がある事から、人気がなくなった時は損失を受ける可能性もあります。

金(ゴールド)は、ドル安の時や地政学的リスク(自然災害、経済的な不安、紛争)などの際に価格の高騰が期待できるものの、利息が付かないため、複利効果は期待できません。そのため、余裕資金での投資が良いと言えます。

複利効果は単純に言うと、1年目の投資した資金と利益に対して利息が付き、翌年には投資資金+利益+利息を含めた額にさらに利息が付くことを言います。

余談ですが、対面式証券会社は人件費などの観点から手数料(信託報酬)などが高い傾向にあるため、相談を受けた後に手数料の安いネット証券で購入を検討するという方法もあります。

経営難に備える
複数の証券会社に口座を持っていると、万が一の経営難に直面した時に移管手続きがスムーズに行える可能性があります。これにより、特定の証券会社が経営破綻した場合でも他の口座で迅速に取引を再開できる点ではメリットがあります。

年の途中に証券会社が経営破綻した場合、積立投資の持続性については、以下のような対応が考えられます。

新しい証券会社にNISA口座を移管することで、年内の積立を再開できる可能性が高まります。この場合、移管手続きが迅速に行われることが前提となります。

移管手続きに時間がかかった場合は、年内の積立が一時中断される可能性があります。その場合、翌年から積立を再開する事になるかもしれません。

証券会社やNISA口座の運営ルールによって異なるため、詳細については口座を開設したい証券会社や金融機関で確認することをおすすめします。

キャンペーンの活用

ほとんどの証券会社では、期間にもよりますが、新規口座開設や取引手数料のキャッシュバックキャンペーンがありお得となっています。また、Vポイントや、楽天ポイントなどのポイントがたまったり、ポイントを使っての投資をする事もできます。

これらのキャンペーンは、各証券会社の公式サイトで詳細を確認することができます。

楽天証券 SBI証券 マネックス証券

デメリット

  1. 管理の手間: 複数の口座を管理するためには、ログイン情報や取引履歴の管理が必要となり、手間がかかります。
  2. 手数料の重複: 資金が複数の口座に分散されるということは、複数の口座を持つことで、各種手数料が重複することになります。
  3. 手続きが面倒: 各証券会社の取引内容によっては面倒な手続きが増えることが有ります。

管理の手間

複数の証券口座を持っていると、口座ごとのログインIDやパスワードを忘れてしまったり、利益の状況もそれぞれ違うため、把握する情報が多くなってしまい少し面倒な点も出てきます。

また、全体でどれだけ損益が出ているのか、資産がいくらあるのかを知りたい時には、すべての口座にログインをして合計を算出する必要があります。

機械音痴
PCやスマホの操作が苦手で、いつも操作ミスをしてしまい、諦めてしまいがちな方は、対面式の証券口座を検討してみるのも方法の1つと言えますが、この場合、多少手数料などのコストが高い部分には目をつむる必要があるかもしれません。

機械音痴を乗り越える事ができれば、複数口座をまとめて管理できるアプリを活用する事で日々の面倒を軽減させることも可能となります。
※:ロボフォリオ』というアプリでまとめて管理するという手もあります。

手数料の重複

複数口座の開設により、投資資金が分散する点はデメリットと言えます。複数口座で投資を行うという事は、口座ごとに入金手数料がかかる金融機関も有ると思います。

投資としたい対象銘柄がある証券口座の資金が不足している場合、別の口座から資金を移す手間がかかるうえ、資金を移動させる間に取引タイミングを逃したり、諦めざるおえない場合も出てくる可能性もあります。

また同じ様なジャンル、例えば人気のあるインデックスファンドの、S&P500とオールカントリー株式のアメリカ株の割合は、約49.8%重複しています。

A社 e MAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
B社 S&P500
で保有している場合

オールカントリーのアメリカ企業の割合は全体の約62.3%をしめています。
その約62.3%の内S&P500と重複している企業の割合は、約80%です。

つまり米国株にオールカントリーとS&P500のトータルの約49.8%を米国企業に投資をしている事になります。そのため手数料も重複していると言えます。

手続きが面倒

NISAでは、つみたてや成長投資枠で得た利益確定時の収益に対して、税金が免除されるだけでなく、配当金や分配金も非課税となります。

そのため、NISAの成長投資枠で出た損失は減税にはなりません。NISAの成長投資枠で得た利益は非課税ですが、損失が発生した場合(少額投資非課税制度)であることから減税の対象にはなりません。そのため、他社で出た損失と合わせた損益通算の対象外となります。

損益通算とは、利益と損失を相殺する手続きのことを言います。
例えば、A社で50万円の利益が出てB社で50万円の損失が出た場合
・A社で50万円の利益(課税対象)
・B社で50万円の損失(税金免除)
そのままにしているとA社での収益50万円に対して課税されてしまいます。

確定申告をして損益通算すれば、収益は0円となります。
A社で50万円の利益(課税対象)B社で50万円の損失(税金免除)(相殺により)=0円
余計税金をに支払う必要がなくなります。

確定申告
NISA以外の証券口座で、「源泉徴収あり」の特定口座を利用している場合は、証券会社が利用者に代わって納税してくれるため、基本的に確定申告は必要ありません。ただし、以下のような場合には確定申告が必要になることがあります。

  • 他の投資口座(特定口座や一般口座)での取引があり、損益通算を行いたい場合
  • つみたてNISA以外の収入があり、総合課税の対象となる場合

つまり、他社との特定口座間での損益通算は行われないため、確定申告をしなければ税金が2重に引かれることもでてきます。

源泉徴収なしの特定口座または一般口座を選択したかたは、投資利益が20万円未満など、一定の状況を除き、基本的に確定申告が必要となります。

  1. 複数の特定口座を持っている場合: 特定口座間での損益通算を行いたい場合。
  2. 一般口座や源泉徴収なしの特定口座を持っている場合: これらの口座での取引がある場合。
  3. 年間の利益が一定額を超える場合: 例えば、年間の投資利益が20万円を超える場合など。

これらの条件に該当しない限り[源泉徴収あり]の特定口座を利用している場合は、基本的に確定申告は不要となります。


以上で『証券口座を複数もつメリット・デメリット』は終了です。

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